青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「“おサボリ”お疲れさま。怪我の治療は早めに。特に田山くん左肩はお大事に。今日中に病院に診せた方が君のためだ」
な ん で ?
俺は左肩に手を伸ばしながら、目を見開いた。
なんで先輩が左肩の怪我を知っているんだ。
この怪我を知っているのはワタルさんと、怪我を負わせた先輩不良だけだぞ。
なんで先輩が知ってるんだよ。その場にいたわけじゃあるまいし。
しかも“おサボリ”お疲れ様ってどういうことだ。先輩、俺達が何をしていたのか知ってるのか?
突然の言葉に動揺しまくっている俺の背中を叩いて、ワタルさんは不愉快そうに笑いながら鼻を鳴らした。
「やっぱテメェ、信用ならねぇーよ」
「光栄だね」
ニッコリ。
須垣先輩はしてやったりとばかりに笑顔を見せてきた。
その笑顔は、どことなく毒を含んだ、寒気のする嫌な笑みだった。
「荒川のいる不良グループ。日賀野がいる不良グループ。ま、どっちが潰れても、僕としてはいいんだけどね」
生徒会室から出て行くヨウ達の背を見送った須垣は小さく笑みを浮かべた。
「潰し合ってくれれば、万々歳さ。不良ほど醜い存在は無いからね。ああヤダヤダ、不良なんて大嫌いだ」