青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



これからどうするか。

どうするべきか。ヨウなりに顔を顰めながら考えて意見を出す。


「弥生が情報通だからな。俺達の情報源っていってもいい。取り敢えず、あいつにヤマト達の情報を掻き集めてもらうか。けどそれじゃいつもと同じだな」

「それに……ひとりじゃ無理だろ」


今度はシズが意見した。


「弥生だけじゃ……限界がある。もっと人数を増やさないと」

「そりゃそうだが。じゃあ全員で情報を集めるか」


「だめだめ。そりゃやめた方がいいと思うぜ。
全員で片っ端から情報を集めるとなると動きもそれだけ大きくなるだろ? 向こうはうち等の動きを結構察知しているみたいだから、動きは小さい方がいい。返り討ちにされかねない」


響子さんの意見に二人は同調した。俺も勿論そうだ。 


「なあケイはどう思う?」


ヨウが俺に話題を振ってきた。俺に振られても……そうだな。


日賀野達の動きを知ると同時にこっちの動きを知られないようにしないとな。

向こうには魚住昭という誰と繋がりを持っているか分からない人物もいるみたいだし。

誰と繋がりを持っているか分からないって恐いよな。



――誰と繋がりを持っているか分からない?



ということは、だ。

いつ・どこで・誰が俺達を見張っているか、俺達の動きを探っているのか分からないってことだ。


もしかしたらハンバーガー店にも繋がりを持った奴がいるかもしれない。

まさかとは思うけど、でも可能性がないわけじゃない。俺達の会話を聞いているかもしれない。


ざわめつく店内に目を配った後、俺は三人にだけ聞こえるよう声を窄めて意見した。


「俺は喧嘩の経験も殆どないし、向こうのこともよく分からないから、どう戦法を組み立てたら勝てるか……なんて意見は出せないけど。
日賀野達が誰と繋がっているか分からない以上、この話は別の場所でするべきだと思う。例えば誰かの家とかで。誰がこの会話を聞いてるか分からないしな」


ハンバーガー店には仕事中のリーマンや若いお姉さん達なんかがいたりするけど、俺達みたいな学生もチラホラいる。

生徒会長の一件もそうだけど、日賀野達が誰と繋がっているか、ちゃんと重視しなきゃいけないと思う。


でなきゃ本当に俺達が馬鹿を見る。


用心深いかもしれないけど、相手が相手だ。こっちも慎重に行動を起こした方が利口だと思う。

シズはひとつ頷いた。

話は切り上げだと欠伸を一つ漏らし、冷めかけたチキンナゲットを口に放る。


「後日……誰かの家で集まって話し合おう。今はメンバーもいない上に、……ケイの言うとおり、用心はすべきだ」

「こういう場所こそ紛れやすいしな。ったく、アキラが顔広いのが悪いんだよな。あいつがいなけりゃ、まだ事がスムーズに進むっつーのに」


ガシガシと頭を掻いてヨウは天を仰いだ。やっぱり直球型は頭を使うことが不得意らしい。


「乗り込んだ方が手っ取り早いんじゃね?」


なんて恐ろしいことを口にしてきた。

ちょ、さっき真正面から突っ込んだら馬鹿を見るって、(俺の意見だけど)自分が言っていただろ!

「バッカじゃねえの」

響子さんはフロンズレッドの髪を弄りながら心底呆れていた。

「うーっせぇ」

反論するヨウの台詞に覇気がない。

馬鹿なこと言ったって自覚はしているみたいだ。自覚があるならもう少し、頭を使ってほしいぜ。兄貴。

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