青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
駅から出た俺以外の三人の機嫌は最悪だった。
日賀野も魚住も帆奈美さんも中学生時代の仲間だった奴等。
今は犬猿の仲なんだから、そりゃ会えば機嫌も悪くなるだろうな。
特にヨウの機嫌はすこぶる悪かった。
口を開けば日賀野に対しての悪態バッカ。マシンガンのように悪口が次から次から次から、凄まじいのなんのって半端ねぇよ。
響子さんは苛々しながら持参しているガムを噛んでいるし、シズはムッスリとして始終ダンマリ。
残された俺はというと……めっちゃ居心地が悪い。
自転車を押しながら三人の機嫌を窺うことしかできねぇ。
下手に口を出せば八つ当たりされそうだ。
機嫌悪い不良達のうち、二人は今から家に来るんだぜ? 気が滅入っちまう! ずっと機嫌悪かったらどうしよう!
だけど、それは俺の杞憂に過ぎなかった。
三人とも歩いているうちに熱が冷めてきたみたいで、次第に纏っていた怒りオーラが薄れていく。
「あーあー、宣戦布告しちまった」
響子さんのおどけ口調で一気にどよんでいた空気が晴れた。
「今から大変になるぜ。なにせ、こっちから宣戦布告吹っ掛けたんだからな。気兼ねなく話し合える場所を見つけて、明日にでもみんなで話し合わないとな。まずは宣戦布告したっつー報告からか」
響子さんの意見に俺達は同調した。
いつもたむろするゲーセンで話し合うのは無理だろ。
誰でも入れるし、誰が日賀野達と繋がっているか分からない。
できれば誰かの家で話し合えれば良いんだけど人数が人数だもんな。
俺の家でもいいけど、うーん、全員が部屋に入ったら狭そうだしなぁ。
「ま、これに関しちゃ今日は仕舞いだ」
ヨウが話を打ち切った。
そうだな、今、話し合っても仕方が無いもんな。この件は後日話し合おうということになった。
響子さんはバスで家に帰るらしい。
俺達はバス停まで響子さんと同行。
そこで別れてシズの間食用のお菓子をコンビニで大量に買った後(あんだけバーガー食っといてまだ食うのかよ)、俺の家へ向かった。