青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―


頼むから、客人の前でそういった会話はやめてくれないかな。すげぇ恥ずかしいだろ。

ヨウもシズもポカンと口開けて、我が家の光景を見つめているじゃないか。


真面目に、真面目に、まじっめに恥ずかしいぞ。

父さんは止める様子もなく寝巻きを探しているし。


これ以上、居間にいると俺、羞恥で死んでしまう。さっさと退散しないと!



「俺の部屋に行こう」



ヨウとシズの背を押して居間を出た。

早足で俺の部屋へと二人をご案内、襖を開けて二人の体を部屋へと押し込んで閉めた。


ようやくホッと息をつく。


つ、疲れた……家族に軽く紹介して部屋に案内するこの過程で疲労がドッと押し寄せてくる。

昼間の喧嘩の一件、日賀野達の宣戦布告の一件もあるから今のやり取りは余計疲れた。


ヨウやシズも疲れているんじゃないかな。

我が家のやり取り、めっちゃ煩かっただろうし。

二人に適当に座るよう言って、改めて詫びる。


「ごめんな、俺の家煩くて。疲れただろ?」

「んにゃ、そんなことねえよ。ケイの家族、オモシレェな。なんかケイの家族って感じ」

「ふぁ~……おじちゃんおばちゃん、良い人だし……」

「ほんとにな」


笑声を漏らすヨウは部屋の四隅に鞄を置いた。倣ってシズも鞄を置くと、俺の部屋をグルッと見渡す。


俺の部屋は畳部屋。ベッドや机、箪笥に漫画とCDとゲームカセットが入っている棚、それにゲームするための小さいテレビなんかが置いてある。


部屋はわりと広い方だとは思う。

この部屋でヨウもシズも寝てもらうつもりだしさ。


それを二人に伝えれば、了解だとばかりに頷いて腰を下ろした。


胡坐を掻く二人に寛いでもらうよう言って、俺は一旦部屋から出て台所に向かう。

飲み物を持って部屋に戻れば、二人は早速部屋の探索を始めていた。

二人とも棚に入っている漫画やCDやゲームカセットを眺めていただけなんだけどさ。


「見てもいいよ」


俺は茶の入ったコップを二人に差し出しながら言う。


「興味あるのは適当に見ちゃっていいから。CD聞きたいならコンポに入れるし、ゲームしたいなら直ぐ準備できるし」

「あ、サンキュ。なんかさ。ケイんところって自由だな」


コップを受け取りながら、ヨウは妙な事を言った。自由かなぁ、我が家。

シズも同意見だと頷きながらコップを受け取る。 


「なかなか……ないと……思う。こういう家……うちは……窮屈……極まりない」


シズのところは愛人がいると言ってたもんな。

どういった事情かは分からないけど窮屈だと思う。

我が家を自由って言ってくれる、ヨウのところも家庭環境が複雑なんだろうな。俺は二人と向かい合う形で腰を下ろした。


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