青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
心地良いチャイム音が聞こえてくる。
一時限目の授業が始まったようだ。俺は心臓をドキドキバックバクさせながら、校舎を見つめ、否、明後日の方向を見つめていた。
生まれて初めてサボったぞ。サボっちまったぞ。
あ、今のは大袈裟だったかも。
サボったことないっていうのは嘘だ。
だけど俺、今まで学校をサボる行為として使っていた手段は仮病を使って学校を休む。
もしくは保健室に行って授業をサボることくらいしかやったことなかったから、こうやって堂々と教室を抜けてサボりを起こしたことはない。
これからも、仮病以外のサボる手を使うことはないと思っていた。思っていたのに、俺、フツーにサボちゃったよ。
心の奥底で溜息をついて、俺はヨウに流し目。
本当にダルかったのか、はたまた単に眠いだけなのか、大きな欠伸を繰り返し零している。
俺は紙パックが売っている自販機の前で、飲み物を選んでいるヨウに質問した。
「なあヨウ、どうして寝不足なんだ?」
するとヨウは先輩に付き合って徹マンをしていた、と返答。
徹マン、俺は聞いたことのない単語にキョトン顔を作る。
「ゲームの名前か? それ」
途端にヨウが噴き出した。
失礼な反応だなおい。妙にハズくなったぞ。
「確かにゲームだけどよ。徹マンの意味は徹夜で麻雀すること。麻雀やったことねぇのか?」
自販機から珈琲を取り出しているヨウは、笑いながら質問返し。俺は頬を掻いて唸った。
「それこそパソコンでちょっとやったことあるくらいだけど。あ、ツモとかロンとかなら分かるよ」
「麻雀は面白いぞ。やり始めたら夜が明けちまう。ケイ、今度教えてやるよ。生の方が燃えるぜ」
そうなのか。
俺、わりかしゲームは好きだし、ゲームには結構が興味がある。
パソコンの麻雀は意味が分からなかったけど、生の方が面白いならやってみたいかも。