青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
俺はハジメと一緒に声のする方へと視線を投げる。
そこには倉庫裏から表に続く道、そして爛々と目を輝かせているヨウ信者のモト。
んでもってモトと同じ制服を着た不良さんらしき人物が一匹。
髪の色がこれまた白っていうド派手っぷり。
年取って老化していったら自然に髪も白になっていくんだから、わっざわざ若いうちから白に染めなくてもなぁ。
……また不良が増えたよ。
しかも見るからにヨウ信者っぽいんだけど。なんか面倒なことになりそうなんだけど。
清々しくタコ沢を伸したヨウはモトの存在に気付いたのか、まずモトに声を掛ける。そして隣にいるヤツは誰かと疑問を口にした。
「俺の一番のダチなんです」
モトは白髪頭の不良を小突き尊敬するヨウに友達を紹介、しようとする前にその不良は大音声で言った。
「俺っち、貴方のすべてに一目惚れしたっス! ヨウさんの噂、よく聞いてるっスけど、ぜーんぶがカッコイイっス! 男の自分から見てもめっちゃ惚れるっス!」
「お……おお、そうか。そりゃサンキュ」
「気安くヨウさんって呼んですみませんっ。でも俺っち、貴方に会えただけで胸の鼓動がッ、あぁあああやばいっスよぉおおおお! 本物は超カッコイイっス!」
うわぁーを。これまた熱の入った告白なことで。
ちょっと見方を変えれば大変誤解を招く発言に違いない。
ヨウは突然の告白に面食らっているし、モトはモトで「あったり前だろ!」何を今更とばかりに鼻を鳴らしている。
普通はもっと別の言い方があるだろって友達にツッコむところなのに、モト、お前、当たり前だろって……。
「ヨウさんはなヨウさんはな! 誰よりも一番カッコイイ不良なんだぞ! 地元じゃ一番なんだぞ! 分かってるのか、キヨタ!」
地元じゃ一番かどうかは分からないけど、ヨウはイケメンだしな。俺等のチームの中じゃ飛び抜けてる超イケメン。
(自分で言ってて虚しいけど)舎弟の俺が霞むほどのイケメン……チックショウ、惚れるかどうかは置いておいて凡人の俺からしたら羨ましい限りだぜ! 妬んでも仕方が無いよな?! 妬みは生理現象だよな!
「分かってるモト! 地元の枠を越えてもヨウさんはカッコイイ不良なんだろ!」
いやぁ、さすがのヨウも地元の枠を越えるかどうかは分からないけど。実際に枠を越えたらモデルも夢じゃないぜ。
さすがに大袈裟だよなぁ。ヨウがイケメンってのは認めるけどさ。
「おうよ! 日本一だ! 日本中の不良が束になってもヨウさんには敵わない!」
「いや世界一だろ! 外国の不良にだってヨウさんは負けない!」
……駄目だこりゃ。こいつ等は根っからのヨウ信者だ。
崇拝っぷりが凄まじくてこっちが引くっつーの。ヨウも引いているみたいだ。体を引いて困惑している。