青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―


声を掛けてきたのは弥生。

それにココロも一緒だ。


弥生は微苦笑を零しながら、俺の背中を軽く叩いて応援していると言葉を贈ってくれた。


「私、ヨウの舎弟はケイだと思っているから。改めて舎弟に選ばれるよう、頑張ってね」

「ははっ、サンキュ。弥生。でもなぁ。相手が悪いって」


俺はヨウの方に目を向ける。

ヨウの周囲にはカッコイイと連呼しているキヨタ、それから今回の騒動を何度も深く詫びてるモトがいた。騒々しい光景極まりない。


どっちも喧嘩ができる不良だしな。

ひとりなんて合気道で全国だろ? 勝つ負けるの前に、俺、天に召されそう。


ゲンナリする俺に対し、弥生は変わらない応援を送ってきてくれる。


「ケイだって、すっごく頑張っているじゃん。いつも陰から見ていたよ、ケイの努力している姿。ケイらしく、がつーんと二人を納得させればいいんじゃないかな? 何よりケイは私を助けてくれたんだから、きっと何があっても大丈夫だよ!」 


「ね?」笑顔で励ましてくれる弥生に、柄にもなく俺は照れた。

こんな風に言われると、あれだな。すげぇ嬉しいな。

女の子に言われるともっと嬉しいな。やっだなぁ、俺、女の子に対する免疫ほんっとねぇな。


でも超嬉しいって。応援されるとさ。


シズが池田チームの情報を入念に聞くために弥生を呼んだ。


「はいはーい」


返事をする弥生は頑張ってとウィンクを送り、颯爽と駆けて行った。

弥生って人を元気にさせる力があるよな。

今の応援でなんか頑張れそうな気がする。あくまで気がするだけどさ。


「け……ケイさん……、私も応援してますので。その、ケイさんだからこそ頑張って欲しいと言いますか」


残されたココロが俺に話し掛けてきた。



「俺だからこそ?」



首を傾げる俺に構わず、ココロはおずおずと隣に並んでヨウ達の方を見つめる。


「だってケイさん、私と同じ……その、あまり目立たない方ですから。でも比べれば私の方が目立たないと言いますか。ケイさんには親近感を覚えて」

「そりゃ俺とココロは不良じゃないから。みーんなバッチシ、髪染めたり、制服着崩したりしてるけど、俺とココロだけは真面目だもんな」


「だけど……ケイさん、ヨウさんの舎弟として頑張っていますよ。私も見習わないとなー……って。私、皆さんに何もデキませんけど……でも役には立ちたいんです。できれば、ヨウさんみたいになりたいなーって」


ココロは恍惚にヨウを見つめていた。

誰にでも屈折なく話し掛けてくれる、仲間思いのヨウみたいになりたいんだとココロは話してくれる。

ココロにとってヨウは憧れの存在らしい。

なんとなく分かるな、それ。

俺もヨウに憧れる部分いっぱいあるもん。


イケメンもそうだけど、なんっつーか、仲間思いで真っ直ぐなところがな。羨ましい。

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