青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「ココロー。ちょっとコンビニに付き……何しているんだアンタ等」
俺とココロは見事に硬直した。
ぎこちなーく視線を投げれば、そこにはキョトンとした顔で俺等の様子を見ている響子さんの姿。
やっばっ、この空気はやっばっ! ココロはヨウが好きなのに、こういう空気を作ってたら誤解されね? 絶対されね?
あたふたと俺は大袈裟に笑い、「じゃあ」ココロに挨拶してヨウのところに逃げることにした。
だけどココロに呼ばれ、つい立ち止まって振り返る。
彼女は頬を紅潮させたまま、優しい微笑を向けてくれた。
「ケイさん、ありがとうございました。私……ケイを応援していますから」
「お、おう。こっちこそサンキュな!」
軽く手をあげて今度こそヨウ達のところへ逃げる。
やばいやばいやばい、多分一時的な感情なんだろうけど、これはちょっと不味いぞ。うん、忘れよう。
まずココロはヨウのことが好きだしな。うん。
でも何だ、このモヤモヤ。
ココロってさ。俺と同じ普通だけど結構、健気で可愛いところあるよな。名前のとおり心優しいし。
「あー駄目だ駄目だ!」
俺は煩悩を振り切るように走った。
何となく分かっていたその気持ち。
どうしても認めたくなかったんだ。
だって認めたら、それこそチームの輪が乱れちまうって。
今は舎弟問題をどうするかを考えよう。何もなかったことにしよう。