青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「あのー……お客様」
試着室のカーテンが少し開けられ、そこから服屋の店員お姉さんが顔を出す。
「ご試着でないならちょっと……」
言葉を濁された上に、引き攣り笑いを向けられる。
さらに俺とモトを交互に見やっているものだから居心地が悪い。
だってさ、狭い試着室に服を試着するわけでもなく、野郎二人が座り込んで、ギャンギャンワンワン言ってて。
しかも俺、感涙しているから若干顔が酷いという。
営業妨害もいいところだろ俺等。んでもって結構なまでにキモイだろ俺等。
「すみません」
俺達は揃って頭を下げるとそそくさ試着室から出た。
(なんか、店内にいる客達の視線……痛いな)
(オレ等の会話、聞こえてたんじゃね?)
(それはそれで……)
(痛い……痛過ぎる、オレ達)
妙に店内の視線が突き刺さってくるけど、そこは心を鋼鉄にして、急いで店を後にする俺とモトなのであった。
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