青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
バイクを飛ばしヨウは仲間を連れ、池田率いる不良チームがいるであろう商店街外れの駐車場付近まで来ていた。
ここら一帯の商店街は寂れており、また不良達が行き交いすると知れた場所でもあるため、極端に人気が少ない。
「寂れているっスね」
キヨタの問い掛けにヨウは頷き、バイクを降りて、民家の塀から例の駐車場をこっそり窺う。
情報によると、とにかく池田は不良達を大勢率いていることで有名だ。
大勢の仲間を従えて他の不良や付近の住民をシメていると噂で聞いている。
度々警察沙汰を起こしているようだが、本人に反省することなく、時間を置いて傍若無人な振る舞いをしているらしい。
人様の車のボンネットの上で胡坐を掻いて座っている不良に目がいく。
派手な茶髪にネックレスの装飾品をジャラジャラつけている不良。
あれが池田だ。
いけ好かないナリだと舌打ちを鳴らし、不良の人数を確認。
目分十人前後。こっちは五人。
人数的には不利だが……何せ、こっちには喧嘩のツワモノ達がいる。
「池田自身、あんまり強くないって噂だぜ。ゴラァ」
タコ沢が知る限りの情報を提供してくれた。
池田は悪知恵の利いた奴で、頭を使って不良達を制圧している。自分は殆ど喧嘩に回らない男のようだ。
ますます気に食わないとヨウは舌打ちを鳴らす。
そういった悪知恵ばかり使うような不良は大嫌いなのだ。
どこかの誰かさんを思い出す。
「なるへそ。なら、大将の側近が強いってことになるのかなーん?」
ワタルの疑問にタコ沢はそういう噂を聞いた、と肯定した。
タコ沢は意外と様々な不良事情を知っているようだ。
「使えるパシリだねん」
ワタルが肩に手を置いてニコッと笑えば、「パシリは余計だ」タコ沢が低く呻く。
忘れられているかもしれないが、タコ沢はヨウのパシリである。
「どう……乗り込む?」
シズは欠伸を噛み締めながら尋ねた。
たむろっている駐車場の出入り口は正面と反対側の二つ。
残りはブロック塀で囲まれている。
ヨウは暫し思案し、二手に分かれようと意見。
自分はなるべく大将を討ち取りたい、リーダーとして。
だから裏手から回ることにしたい。
ヨウの意見にシズは頷き、ワタルとタコ沢に目を向けた。
「では……こちらは、正面突破だ。なるべく騒ぐぞ。特にタコ沢……、お前は騒がしいから役立つ」
「誰がタッ……」
「今は騒がないの? お分かりんこ?」
ワタルの右手で口を塞がれ、もがもがとタコ沢は唸る。
軽く青筋を立てるタコ沢に怒らない怒らない、ワタルは一笑を零した。
話は纏まり、シズ、ワタル、タコ沢は裏に回るヨウとキヨタの合図があるまでブロック塀に身を隠して待機する。