青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
こうして俺は一週間の舎弟リストラを乗り越え(今思えば短いよな)、新たにヨウと舎兄弟を組んだ。
理由も理由だし、チームメートも納得してくれるだろうとヨウは自信あり気に胸を張っていた。
一方で、問題も残っている。
そう、キヨタのことだ。
モトとの関係は一段落ついているのだけれど、ヨウに羨望を抱いているキヨタのことはおざなりのまま。
ヨウはキヨタにどう事を告げようかと悩んでいた。
舎弟の件は俺にしか伝えていないらしく、これから仲間内に報告するのだと教えてくれる。
納得する明確な理由は持っていても、キヨタが納得してくれるかどうかは別問題だ。
自分のことを尊敬しているわんこ不良に、どうやんわりと事を伝え、納得してもらおうか。ヨウはとても悩んでいた。
確かにキヨタはヨウを慕っている。
モトとは違って舎弟も諦めてないようだった。
「ゴタゴタしちまうかもな」
どう思考を回しても相手を傷付ける事実には違いない。
ヨウは軽く溜息をついた。
なるべくキヨタの気持ちも酌みたいってのがあいつの心境なんだろうな。
でもあいつだって物分りの良い奴だから説明をすればちゃんと分かってくれるかもしれない。
これから先のことを考えて頭を悩ませているヨウを励ましながら、俺は舎兄と共にいつもの倉庫裏にやって来た。
中学組以外は面子が揃っていた。
曰く、モトは病院に行っているらしい。
ということはキヨタは付き添いか? だったらすぐに来るだろう。
早速副リーダーのシズが舎弟問題を聞いてきた。
進行はあったのか?
副リーダーの疑問に改めて俺が舎弟に選ばれたことを、ヨウの舎弟を選んだ理由基準のことを話すと、シズは大いに納得した様子だった。
他の皆も納得してくれたし、弥生に至っては両手あげて喜んでくれた。
「やっぱりケイじゃなきゃ」
思い切り背中を叩いて祝してくれたんだけど、その手がちょっぴり痛かった。加減してくれよ、弥生。
「うちはこうなると分かっていたけどな。ヨウにしては、賢い選択基準だったようだし。見直したぜ?」
紫煙を吐き出す響子さんがヨウを褒めた。
彼女はよっぽどのことじゃないと人を褒めない。これは価値のあるものだと思う。
「やーっと頭も使うようになったんねんぴ!」
ワタルさんに茶化されて、ヨウはうるせぇと悪態を付く。
ヨウ自身も頭を使ってない自覚があったらしく、強くは反論できていないようだった。