青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



「そうか」


シズは目尻を下げた。

次いで無理はするな、微笑を向けてきてくれる。


「あ、そうだ。なんかチーム内でまた問題が起きたそうだけど……その……舎兄が、どうのこうの……って」


俺はおずおずと舎兄問題の件を副リーダーに尋ねる。なんてことないとシズは肩を竦めてきた。


「ヨウが少々相手を……怒らせてしまってな。舎兄に向いていないと言われてしまったんだ。なに、チームに支障は無い」

「誰だよ、ヨウさんが舎兄に向いてないとか言ったヤツ! オレがぶっ飛ばしてやるのに! ヨウさん、ちっとも相手のことを教えてくんねぇし!」


ぶーっと脹れるヨウ信者のモトが酷い話だよな、と俺にしがみ付いているキヨタに同意を求めた。

うんと頷くキヨタは目をゴシゴシと擦って賛同する。


あれ? キヨタじゃないのか、舎兄問題勃発したの。

なら誰だろう……ヨウに対して舎兄は向いてないと言った命知らず者は。


どうやらシズやワタルさんは相手を知っているらしく笑声を漏らしている。


え? 誰なの? 超気になるんだけど!

なにより、俺自身に関わりがある。何度も発言者の名を聞く。


けれど二人とも、直接ヨウに聞けと言うだけ。


モトやキヨタに教えていないのだから、俺に教えてくれるかどうか……ま、ヨウが戻って来たら駄目元で聞いてみるか。何事も無いといいけどな。



そうこうしている間に、次から次に仲間が戻って来る。  



ヨウを最後に全員揃った。

顔が揃ったところで皆に迷惑を掛けたことを謝ろうとしたんだけど、偵察の結果を含む集会が開かれたから謝る機会を逃しちまった。


それが終わって謝ろうとしても、俺の体の調子とか、皆の近況とか、そういった話に時間を取られたから謝る機会を逃してしまう。


なんだか皆、気にしていないから謝るなと態度で示してい誰もそんなことは言わないけど、態度が物語っている。


だから俺も謝ることをやめた。


心配を掛けた分、今度は行動で返そうと思った。


極々自然に思えるほど、俺はチームに居場所を作っていたんだな。


皆も居場所を俺に作ってくれているし……ココロ以外、みーんな不良だけど、恐いけど、友達だって思っているから、やっぱ居心地がいいや。


今日、顔を出して良かった。本当に良かった。また一つ立ち直れた気がするよ。



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