青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



冷汗を流している俺を他所に凄まじい足音を立てて俺に向かってやって来たのは昼休み、散々俺を追い掛け回したあの赤髪の不良さま。


ところどころ青痣とか目に飛び込む。

これはヨウがやったヤツ。

赤髪の不良さまはヨウに果敢に挑んで、あっけなくヤラれてしまったのだ。

俺、一部始終見ていたけど、ヨウって改めて強いって分かったよ。


というか、赤髪の不良さまにヨウがヤラれそうだったっての、アレ、絶対嘘だろ。


だって圧倒的にヨウが強かったんだもん。

それかヨウが本当に不調だったか。


とにかくヨウは強かった。

赤髪の不良さまは俺の前で立ち止まる。気付けば、俺以外、教室に誰もいない……うわぁ、気まずい。恐ろしい。やっぱ恐いし!

俺は地味な勇気を振り絞って赤髪の不良さまに話し掛ける。


「えーっと、あの……もしかして俺に御用ですか?」

「『昇降口にいる』。荒川庸一ッ、ヨウさんの伝言だッ……クッソー! なんで俺があいつのパシリをさせられているんだ! しかも、パシリし易そうな野郎に伝言なんてッ~~~!」


悔しそうに吼える赤髪の不良さまに、俺は深く同情した。

あの後、ヨウに負けた赤髪の不良さまは、何かあったら仕事をするという……つまりパシリに任命されたのだ。

凄く可哀想だったけど、仕方ないよな。

ヨウに喧嘩で負けたんだし。文句は言えないって。


「しかも、こんな野郎が荒川庸一の舎弟?! アリエネェ!」

「あの……呼び名が、ヨウのことはさん付けじゃないと」



「あ゛?!」



「いえ、ナンデモアリマセン! 俺が無礼者でした!」



すみませんすみませんすみません、もう二度と不良さまに口を出しません!


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