青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



ハジメだってそうだ。 


今の理由をヨウに言ったところで、あいつは抜けるなんて許さない。


理由にすら取ってくれないって。


寧ろ、


「ンなことで悩んでたのか?」


そう言って呆れられちまうよ。笑われちまうよ。何で相談しないんだって不貞腐れちまうよ。


どうしてだと思う?

ヨウにとってハジメは大切な友達だからだ。


ハジメが不良にやられていると知ったヨウは形振り構わず走り出したっけ。

グループやチームに使える使えない以前に、ヨウにとってハジメは友達なんだ。


ほら、ヨウって仲間大事にするだろ?

仲間の誰かが傷付くのは嫌なんだよ。


本当はさ、ヨウの奴、喧嘩の強弱なんて関係ないんだと思っているんじゃないかな。

ヨウは喧嘩できるできないで友達の判断しているわけじゃない。


あいつは気の合う友達とワイワイしたいタイプなんだ。


成り行きで今は、日賀野達と対立しているけど、本当は喧嘩よりも、仲間とどんちゃんする方が好きなタイプなんだ、ヨウって。


ハジメはチームに何もできない?


そんなことないって。


お前は敵の出方を読んだり、敵の分析が上手いじゃないか。

誰よりも作戦立てるのが上手いよ。

ここ最近、シラミ潰しに不良チームを潰していたけど、それはハジメの作戦あってこそだぞ。


しっかりと作戦を立ててくれたから俺達チームは無駄ない動きで相手を潰せたんだ。


「頼むからそんなに自分を卑下しないでくれよ。
事情があるならまだしも、そんな理由でチームを抜けるんじゃ、俺もチームを抜けなきゃいけなくなるだろ。ヨウの舎弟もやめなきゃいけなくなるって。


俺はヨウに地味不良だって認められているけど……反面、ハジメの言う不良の落ちこぼれというのにも当て嵌まる。

だって喧嘩弱いし、チームのお荷物になりがちだし、寧ろ俺の方がイケてねぇから落ちこぼれっぽく見えるし。地味平凡悪いかコンチクショウだし。


けどまあ、それでもどうにかやってきてるわけだしさ。
これからもヨウを最後まで信じてついていこうと思う。

俺達チームメートができることって、一番はリーダーを信じてついていくことなんだって思う。

ヨウだって完璧じゃない。
あいつを信じてやって陰から支えてやることでも立派にチームに尽くしているんだと思う」


「ケイ……」



「一応ヨウの舎弟だから言うよ。あいつを信じて、支えてやってくれってさ。ま、付き合いの浅い俺が言うのもおこがましいだろうけどさ。

ハジメ、それでもまだ何か思うことあるなら、俺と一緒にヨウとシズに言ってみるか。

『俺等、喧嘩弱いんで抜けちゃいます。ごめんちゃい』って。

馬鹿と地獄を見るのは確実に俺等だけどな。一発かまされても文句は言えないぜ。アウチ、俺等、死亡フラグ!」



おどけ口調で言う俺は、ハジメの両肩に手を置いて言ってやる。


ハジメが抜けたら困る、と。

俺の言葉じゃ物足りないのは分かっていても、言われないよりかはマシだと思うから……ハジメに言うんだ。


チームに必要な存在だって。


ハジメの言う、不良のおちこぼれは俺にだって当て嵌まるんだしさ。


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