青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「ヤマト達に事を知られたら厄介だ。
ヤマトは喧嘩をゲーム感覚で楽しんでやがるからな。狡い手を使って襲ってくるに違いねぇ。協定を結んだ不良達を束ねてやってくる可能性も大だな。シズ、てめぇはどう思う?」
「同意見……向こうも情報通だ。早いうちに事を片付けておくのが手だろう……ふぁ~……ねむ」
こんな時に欠伸を噛み締められる我等が副リーダーは大したもんだぜ。
俺だったら欠伸どころか、眠気一つ出てこないや。
だって周囲は不良不良不良ふりょうバッカだもの! 眠気どころか胃がちっと痛むぞ! 胃炎にならないといいけど。
「一気に嗾(けしか)けるしかねぇ」
ヨウは戦法プラスの真っ向勝負で挑もうと意見。
なるべく一日、二日で片付けたい。
特に浅倉さん達の因縁であろう榊原チームは一日目で片付けてしまいたいもの。
でなければ日賀野達の耳に事が飛び込む。
『エリア戦争』に直接参加する日を、なるべく一日で済ませたいと強く言った。
ちなみに戦法は今から立てる、そこのところは忘れていないとばかりにしっかりと補足して。
「これから俺等チームは役割分担を決めっぞ。
意見は最後に聞くから、取り敢えず分担する。
まず具体的な戦法は頭の俺、副のシズ、頭脳派のハジメでいく。
タコ沢、てめぇは戦法を立てる際、俺等に不良内情を教えろ。
テメェが一番付近の不良内情には詳しいからな。俺等につけ。
戦力把握はワタル、響子。
どれくれぇの割合なら力が均等になるか調べて欲しい。
弥生はヤマト達の情報をちょい探ってみてくれ。なるべく奴等の行動を知りたい。
その際、キヨタ、てめぇは弥生のサポートに回ってくれ。
夜に情報探るってのは危険な行為だからな。弥生が襲われねぇようしっかり守れ。勿論、弥生のサポートもしてくれ。
地形のことはケイが担当しろ。
てめぇが一番地形には詳しいからな。その知識をモト、ココロに提供して、テメェ等はテメェ等なりの戦法を考え出してくれ。
後で俺等で決めた戦法を照らし合わせて調節すっから。
ケイ、中心になって戦法を立ててくれ。以上だが、なんか意見はあっか?」
「へいへいへーい、ヨウちゃーん。僕ちゃんから一ついい?」
「何だワタル」
挙手するワタルさんは、こほんともったいぶったように咳を零して口を開く。
「タコ沢ちゃーん、こっちにも回してくれる? 戦力の把握はOKなんだけどさ。均等に戦力を分けても、向こうの不良達チーム全員と対等になれるとは思えないわけよんさま。
つまり相手チームに合った戦力でこっちもいきたいわけねねねねん。戦力に詳しそうな不良内情を知ってるタコ沢ちゃん、こっちも欲しいな~む」
「うちも同意見だな。タコ沢をこっちに回してくれ、ヨウ」
「……さっきから黙って聞いていれば、揃いも揃って俺は谷沢だゴラァ。誰がタコ……っ、誰がたこだっ」
青筋を立て、片眉をつり上げ微動させるタコ沢の文句なんぞ皆スルー。
ヨウはワタルさん、響子の意見になるほどと頷き、腕を組んで思案。
そして提案、
「先にそっちにタコ沢を行かせる」
二人の要求を受け入れた。
タコ沢には後でこっちに来てもらう、ヨウの下した判断に一人を除いて納得。
ちなみに除かれた一人は当人のタコ沢、
「テメェ等っ勝手に決めやがって!」
地団太を踏んで吠えていた。
どう吠えてもタコ沢の運命は決まっているのにな。