青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
あの時、日賀野が俺を舎弟に誘ってきた……そう、利二が止めてくれなかったら、あの日あの時あの瞬間。
もしも俺がヨウじゃなく日賀野を選んでいたら。
ヨウの舎弟を一蹴して、日賀野の手を掴んでいたら、俺とヨウは今の関係を築けなかった。
こんなにもチームメートと仲良くなれなかっただろうし、ヨウ信者のモトが俺を舎弟だと認めてくれることもなかっただろう。
キヨタが俺を兄分だって慕うこともなかった。
ワタルさん、シズ、ハジメ、弥生、響子さん、タコ沢……それにココロ。皆ともこんな風に過ごすことなんてできなかった筈だ。
ただ、もしも俺が向こうのチームについていたら、健太と絶交宣言を交わすこともなかった。
(俺がヨウの舎弟を捨てていたら、浅倉さん達のようになってたのかなぁ。ヨウ達と敵対してたのかなぁ)
だとしたら、浅倉さんとその舎弟さんの姿は“別”の未来の俺達を見ているよう。
別の道を選んでた俺等の未来を、今こうしてまざまざと目の当たりにしている気分だ。