青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
さてと、感傷に浸るのもそこそこにして。
俺等は仲間内を伸してしまった赤髪不良含む四人の不良に視線を投げた。
俺はヨウに事情を説明して、協定解消のこと、仲間割れしたこと、そして援軍を免れたことを伝える。
まったくもって予想だにしてなかったとヨウが瞠目する間もなく、
「蓮」
向こうの不良の一人が赤髪不良に声を掛けていた。
「終わらせて来い。今が榊原を伸すチャンスだ。俺達もすぐに行く」
蓮と呼ばれた不良は後のことは任せたと仲間に綻ぶと、俺等の目を気にすることもなく颯爽と来た道を戻って行く。
「ちょい借りるぜ」
そう言って、さっさと人のチャリに跨……って、それ、俺の自転車! ドロボー! 俺の愛チャリっ、返せー! 罰金だからなー!
「俺のチャリ!」
嘆く俺を余所に、ヨウはどういうことだと残った不良達を見据えた。
こんなことをすれば、どうなるか馬鹿でも分かる筈。
お前等は負けたいのか。
問い掛けに、不良の一人が答えた。「終わらせたいんだ」
「やっと終われる。和彦さんが……このエリアの勝者になれる」
これまた予想してない言葉に、俺等は言葉を失う。
敵意をまったく見せない榊原チームの不良達は、
「和彦さんが勝者になれるなら、なんだってするさ。そう、なんだって」
自分達は榊原と共に終わるのだと哀しそうに、だけど晴れやかで覚悟を浮かべた面持ちを俺達に見せた。
「お前等。ありがとうな。和彦さんたちと手を組んでくれて。荒川達がいたから、俺達はこの作戦を決行できる」
「作戦、それじゃあ君達は最初から」
「俺達は裏切り者さ」
ハジメの言葉を遮る不良のひとりは明言する。
「俺等は単なる裏切り者なんだよ」