青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「なあココロ、ちょっとコンビニまで付き合ってくれないかな? この飲み物、皆に届けたら、コンビニまでさ」
俺の誘いに、ココロは軽く瞠目していたけど気持ちを察してくれたのか、ほんのり赤くなっている頬を更に紅潮させて頷いてくれる。
どこか緊張をしている顔に俺も緊張を覚えるけど、予約していたんだ。こりゃもう動くしかないじゃないか。
俺からした予約だもんな。
これ以上、なあなあにして予約を先延ばしすることもできないし、俺自身も我慢できない。
勘の良い皆のことだから(特に舎兄とかな)、きっと勘付くと思うけど、誰にどう思われても良い。
俺はココロに気持ちを伝えたいんだ。
各々四人分の飲み物を持ってテーブルに戻った俺は、まず人数分の飲み物を配布。
次いで通学鞄に入っている携帯を取り出すと、ちょっと外に出てコンビニに行って来ることをテーブルの皆に告げた。
途端にキヨタが、
「俺っちも!」
勢いよく立ち上がろうとするんだけど、向こうで待ってくれているココロを見て空気を察したのかモトが無理やり腰を下ろさせてくれたおかげで難を逃れた。
ごめん、キヨタ。
お前が嫌ってワケじゃないんだ。
けど、今度こそ告白を成功させるには、お前がいちゃ駄目なんだ。
悪い、今度兄分として奢ってやるからな。
「ケイ。駄賃として俺にラーメンだからな」
ほら、察しの良い兄貴が細く笑って意地の悪い顔を作ってくる。
分かっているよ、意地の悪さの中に応援も含まれてることくらいさ。
「へーい」
ヒラヒラと手を振って、俺は待ってくれているココロの下へ。
そして二人で仲良くファミレスを出た。
真昼のように明るい店内とは対照的に、外は真っ暗くらくら。
黒の絵の具を零したような空の上に、ぽっかりとお月さんがのっかっていた。