青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「モト、キヨタ!」
ヨウが助けに向かうと同時に、倉庫に放置されていた鉄パイプがバイク運転手に向かって回転しながら飛んできた。
それによって運転手はダメージを負い、走る軌道を逸らす。
「さっさと立って逃げろゴラァア!」
二人を助けたのはタコ沢だった。
持ち前の肩の力を発揮して、次から次に鉄パイプをバイクに向かって投げている。
その姿は雄々しくも凛々しい。
タコ沢お前……タコ沢のくせに惜しみなく仲間を助けてくれる奴だったんだな!
嫌々ヨウのパシリくんになっているから、てっきり仲間は助けない奴だと思っていたのに。案外イイ奴なんだな!
ついでに俺とヨウへの雪辱も忘れてくれると嬉しいんだぜ!
タコ沢の活躍のおかげで、隙を見つけることのできた二人は急いで飛び起きて、その場から逃げる。
「オラァ、リーダー!」
これで応戦しろとヨウや仲間達に鉄パイプ、それが無くなったら木材を投げて救済の措置を取る。
つくづくチームメートとして働いてくれるタコ沢に感謝したくなる。
まったく、お前って……実は人情味のある不良なんだな。吠えるけどさ!
仲間達が対抗武器を取っている間、俺は喧嘩のできない弥生、ココロを連れて窓辺に駆けていた。
二人を倉庫の外に出そうと思ったんだ。
響子さんはこの奇襲に絶対参戦するだろうから、とにかく彼女達だけでも窓から外に出さないと。
埃で汚れている窓を開けて、俺は弥生とココロに外に避難するよう促す。
足手纏いになると分かっている二人は、十二分に外を確認して敵がいないかどうか確かめると、各々窓枠を乗り越えた。
「ケイも!」
弥生に来るよう手を差し伸ばされて、俺は迷う事無く窓枠に足を掛けた。
俺自身も喧嘩ができない足手纏い組。倉庫内にいたら皆の足手纏いに……目を削いだ。
外向こう、金網フェンスを乗り越えて来る不良が数人。
俺達の避難を見計らったようにフェンスを越えてきやがった。
男女平等思考を持っているのか、向こうは弥生やココロにも敵意剥き出し。このままじゃ二人が。
俺は急いで窓枠を飛び越えて、二人に襲い掛かろうとしている不良のひとりに飛び掛った。勢いと体重が勝って俺は相手を押し倒すことに成功。
「中に戻れ!」
二人に怒声を張りながら、俺は相手を押さえ込もうと躍起になる。
くそっ、向こうの方が力が……しかも他からも手が伸びて、いや足が伸びてきやがった!