青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



「あれだよな。五木ってモトに気質が似ている。最近になってモトのことを分かるようになった俺だから、五木を見ていてアイツと重なるところがある」


そっと切り出された話題は非常に同意し難い内容だった。


利二がモトと似ている?

あのヨウ信者忠犬モト公とクールツッコミジミニャーノの利二が似ているか?


吠えるモトと薄情者その3利二(その1は光喜・その2は透) ……ちっとも似てないと思うんだけど。性格とか正反対じゃね?


モトが感情を表に出すタイプなら、利二は感情を内に秘めるタイプっつーか。

そりゃキレた時は面に出すけど、普段は冷静沈着という四文字熟語が似合う普通の地味っ子だと思うけどな。

「そっかなぁ」

生返事をする俺に、

「超似ているよ」

ヨウは微苦笑を零して、組んだ膝に肘を置いた。


「俺に敵意を見せてくるところとか、ズバッと舎兄失格だと言ってくるところとか。

手前にとって大切な繋がりを守ろうとするところとか……めちゃくちゃ似ている。

ははっ……五木の俺に向けてくる言葉って超痛烈なんだよな。痛恨の一撃を食らったっつーの? 的を射ているから反論できねぇし。 

ああいう五木を見ていると、モトがテメェを初対面で蹴り飛ばそうとした時のことを思い出す。

ケイ、こりゃ俺が言ったってことを本人には黙っておいて欲しいんだけどさ、あいつは俺に嫉妬しているんだよ」


「は? 嫉妬ってナニヘソ?!」


ま、まさか利二……俺を恋愛として見始めた?


ご、ごめん利二。


結婚してくれとは言ったけど、俺にはココロという彼女がいてだな。


「いやいやいやケイ。嫉妬は恋愛だけじゃねえだろ? だからそんな驚く顔をされても困るんだけど。

ほらよ、モトは俺の背中を追い駆けていたから、舎弟になったテメェに嫉妬心を向けた。


暫くはテメェにばっか突っかかっていただろ?

性格が性格なだけに今も突っかかっているけどさ。


そして五木はテメェといっちゃん仲が良いから、舎兄の俺に嫉妬心を向けている。

表向き平然としているけど、俺がテメェを疑った時期があっただろ?

あれのせいで五木は心のどっかで俺を信じられなくなっているんじゃねえかと思う。

よくあるよな。仲の良いダチを取られたら、物寂しいってヤツ。

五木もその気持ちなんじゃねえのかなぁ。

だーかーら、俺に辛辣な言葉を浴びせるんだと思うぜ」


そう、なのかな。

利二は俺に全然そんなことは言わないから。


「ほらな、モトと同じだ。大事な奴だって想っているから、周囲とはちょっと違う関係を持っている俺に嫉妬する。

多分モトも、今もテメェに嫉妬する部分は多々あるんじゃないかと思っている。

あいつ結構思い詰めるタイプだから、また変に考え過ぎて自分の存在価値に悩んで、苦しんで、葛藤をしているんじゃないかと心配しちまう。

俺的にあんま順位付けとかしたくないけど、無意識に順位付けをしている自分がいる。誰だってしちまうと思わね?

同じように位置付けはしているけど、特に気の置けない奴を優先しちまうって。手前にとって特別だったら尚更」


言われたらそうだ。

俺も地味友三人は自分の中で同位置にいるのだけれど、無意識に利二を優先順位として挙げている。


それはあいつが俺に手を貸してくれることも然り、俺自身が三人の中で一番気の置けない奴だからと自覚しているからだ。


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