青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「ケイは五木を誰に取られちまったらヤじゃね?
俺、モトが別の奴を追い駆け始めたら、かんなり寂しいぜ。
可愛い弟分が誰かに取られちまった! そう思ってヘコむ。
俺になんか問題があったんじゃないか? とか悩んじまうんだろうな」
「そうだな。利二は俺にとって一番の理解者だから……特別に誰かと仲良くしていると、そういう奴ができたんだなって嬉しさ半分。
でもこっちにも目を向けて欲しい半分って感じかも。仲が良いからこそ、ちょいそう思っちまうかも」
いや、結構寂しいぞ。
利二は俺のオアシスだから、めちゃくちゃ寂しいかも。
別の学校に通って環境が変わったなら、そういう奴もできたんだなっと、すんなり受け入れられるけどさ。
同じ環境にいるわけだから結構寂しい思いを抱くと思う。
実は俺、利二をそういった意味で苦しめていた……のかもしんないな。
んー、あいつは気前よく話を聞いてくれていたから、ちっとも気付いてやれなかった。
「ま、そーんな俺は五木に嫉妬していたりするんだけどな。
どっかの誰かさんは、不良の俺等に一線引くところがあるしなぁ? んでもって舎弟に恋愛のアドバイスしてやったってのに、俺はキャツに嫉妬されていたりしたし?」
「ま、まだ言うか。ヨウ」
「だーってそーだろうよ。何処でどう間違えれば、ココロが俺を好きって結論に達するんだ? 言ってみ?」
言ってみ? と言われても……。
「そ、そりゃ……ココロのヨウを見る目が優しかったし。お前はチームを結成してから超リーダーシップを取るようになって、前以上にカッコ良くなったし。
喧嘩は強いだろ。お洒落さんだろ。日向男子だろ。最大のキーポイントっていったらやっぱイケメンだろ。
女の子の憧れが詰まっているボーイじゃんかよ。
なあに一つ、俺はヨウに勝てる要素ないし……別にお前が嫌いとかじゃないけど、嫉妬はしたなぁ」
素直に白状したら、
「ダチ同士でも嫉妬するよな」
ヨウが可笑しそうに笑声を漏らした。
ほんとにな、友達同士でも嫉妬しちまうよな。
俺の場合、妬みというより羨望に近い嫉妬を抱いた。
ヨウは友達だけど、まーったく嫉妬を抱くなってのは無理だろ。
自分にないもの友達が持ってたりしたら、やっぱ羨ましかったり、自分も欲しかったりするわけだ。
モトも利二も、俺等“舎兄弟”の関係に欲していたり、羨ましかったりしていたのかもな。
「モトや五木も嫉妬していることに対して変に気遣われたくはねぇと思う。俺だったらヤだね。惨めになる。どんだけ心の狭い男だって、自己嫌悪にも走る」
それが分かっているから、今までどおり必要とするんだとヨウ。
可愛い弟分のモトを、ヨウは必要としていくと断言する。
自分にとって必要なダチであり、後輩なんだと態度で示す。口で言うだけ相手に勘ぐらせてしまうから。
利二もなるべくダチとして歩もうと舎兄は努力をしているらしい。が、すこぶる様には厳しいとか。
「言葉がナイフだナイフ! ドライで素っ気無い態度を取りつつ、さらっと毒を吐いてくるからヘコむ。不良だからって何でも強いってわけじゃねえぞ。毒吐かれたら、そりゃ俺だって、俺だってなぁ……」
「あ……あー、そうね。利二ってちょっとクールだよな」
「五木って実は俺の苦手なタイプかもしんねぇ。図星を突いてくるところがな。
『貴方がもう少し、知恵のある頭の使う人ならば舎兄と認めないこともありませんけどね』
なんざ、まんまその通り。
仰るとおりだぜ。分かっているからこそ、指摘されたくねぇっつーのにっ。ああいうタイプほどチームには必要だとは思うけど、俺自身が廃人になりそうだ。ヘコむ」
俺もモトに散々言われているから心中は察する。