青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
あ、これからどうするんだろう。
ヨウに聞けばゲーセンに戻るらしい。
ココロをゲーセンで待たせているし、全然ゲームできなかったから。
あれ? ゲーセンに戻る? そりゃココロがゲーセンで待っているだろうから戻らないといけないだろうけど、俺まで戻る必要ないんじゃね?
俺、マジ疲れたんだけど。
「ゲーセンに戻って、少しは鬱憤晴らさねぇとな。マジ今の出来事のせいで腹立った。ケイ、戻ったらエアホッケーしようぜ」
きちゃったぜ、エアホッケー。
意外とカラダを使うあのエアホッケーきちゃったぜ。俺、クタクタなんだけど。バリ疲れたんだけど。
だがしかし、遺憾なことに断る勇気が無いから愛想笑いで承諾。
さっきの俺だったら断れたのかな。いや断れないだろうな。ヨウ、やっぱ不良で恐いし。
小さく溜息をついているとモトが俺の前に現われた。
疲れている時に疲れる奴が現われちまったよ。勘弁して欲しいって。
どうせ嫌味とか皮肉とかそこらへん言いに来たんだろ?
キッと睨んでくるモトに俺は心の中で溜息。
俺の心中を知ってか知らずか、俺を指差して声を張ってきた。
「活躍したからって天狗になるなよ! オレはお前のこと舎弟だなんて認めてねぇえんだからな!」
「はいー……了解です。天狗にならないよう肝に銘じておきます」
「け、けけけどな! じー……自転車のッ、う、腕は認めてやるよ。な、ななな仲間としてもな!」
腕を組んで鼻を鳴らしてくる。
光栄な言葉ばっかだけど……モト、お前さ。
俺が先輩だってこと忘れているだろ。俺、一応お前より一年早くこの世に生まれたんだぜ。一年先輩だぜ。分かっているか? そこら辺。
「で! でッ……でー……お前の名前ッ、何っつった! オレの名前は分かるだろ!」
「貴方様は基樹。俺はケイ。これで宜しいですかね?」
「ケイか。ケイね……オレのこと、モトって呼ばせてやるバッカヤロ! 宜しくもしてやるよ!」
バッカヤロ……おまっ、バッカヤロはあんまりだろ。
俺的には宜しくしたくない。
初対面で殴り掛かってきた奴だもん。出来ることなら宜しくしたくない。まあ不仲になるよりはマシか。
「どうぞ宜しく」
言葉を返すと、フンと鼻を鳴らしてそっぽ向いてきた。
ヨウが溜息をついて「何でそんな挨拶になるんだか」と呆れている。
慕っているヨウに呆れられたことが少しならずショックだったのか、シュンと表情が落ち込んでいた。