青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



余所で俺は歯を食い縛ってチャリをかっ飛ばす。


粘着質の高い妨げをどうにか振り切るけど、これじゃあ運転にも集中できないし、ヒント探しにも集中できない。時間だけが刻一刻と過ぎていく。


ついでに俺の体力も削られる。


こうしていても埒が明かない。

俺達は一旦付近の公園に集合することにする。

五人でこれからどうするかを話し合うことにしたんだ。


早くヒントを探したいけど、こうも妨害を受けちゃ時間は過ぎるばかりだ。何か手を打たないと。


公園に向かう途中、ワタルさんと合流した。

よし、後はシズやキヨタと公園で合流すれば完璧、と思って公園に突撃したんだけど……いや乗り物に跨ったまま公園の敷地にお邪魔しますしたんだけど。


わぁお、公園にいたのはまさかの……。



「また荒川にプレインボーイ、それから貫名じゃねえか」



ぬぁああああああっ、出た出た出た出た! 俺のトラウマ不良っ! ひ、ひ、日賀野大和(と、その他お仲間さま)が目前に。


カッチーン固まる俺に対し、ド不機嫌顔を作って敵意を剥き出しにしたのはヨウ。

ウズウズと喧嘩したそうな顔を作っているのはワタルさん。


俺、田山圭太はカッチンコッチンのコンコンチン。

ははっ、泣きたいんだぜ。


日賀野に副頭さんに、健太、魚住、紅白饅頭双子不良。

人数的にこっちが不利だしさ! 丁度シズやキヨタが公園に入って来たから、ますます事態が悪化。無言の青い火花が散りあった。


「ほぉ……揃いも揃って退院しているのか。一生病院に世話になっときゃいいのにな、荒川」

「病院に世話になっても、そのひん曲がった性格は相変わらずだな。ヤマト」


「あ゛?」

「あ゛あ゛ン?」


Hey!

両者リーダーさんっ、こわっ、母音濁点こわいYOっ!

俺、不良っ、こわいYO!


地味不良も「あ゛」言ってみたいけど、あんた等みたいな凄みは出なさそうだぜ!


ちょ……いやいやいや喧嘩をしている場合じゃないだろ、兄貴!


今日のところは潔く身を引こうって! 喧嘩している場合じゃないんだぞー!


「ヨウ」


俺が名前を呼べば分かっているとばかりに舌を鳴らして、ヨウは向こうチームを無視するようチームメートに告げる「奴等は空気だ」とかなんとか、喧嘩を売る発言するんだからもう……向こうの怒りを買うというね!


でも、向こうも今は俺達に眼中はないみたい。向こうは向こうで話し始めた。よ、良かった。激突しなくて。

ハンカチでこめかみを押さえながら、ホッと胸を撫で下ろす俺を側らでヨウはやや苛立ちながらも現状を仲間内に報告。

妨害が凄まじいと眉根を寄せた。


「此処まで徹底的にされるとは思わなかった。俺達をとことん甚振りたいんだろうな……ゲーム開始から三時間経過ってところだが……手掛かりゼロか」


「工事現場だけならばまだしも……小さな光というのが……な」


欠伸を噛み締めるシズに、「それなんっス」同調するキヨタ。


小さな光さえなかったらシラミ潰しに工場現場を探し出していくのに、悔しそうに奥歯を噛み締めるキヨタ取り敢えず工場現場の数を把握しようと意見。


一点だけ調べても違った場合、対処しかねるとご尤もなことを述べてきた。


「だよねぇ」


ワタルさんは頷いて、俺に工事現場の数を思いだせる限り思い出すよう頼んでくる。



「ケイちゃーん。この辺りの地形に詳しいしさ。僕ちゃん達より、ぜぇえったい出てくると思うんだよね。幾つか工事現場行ったら、小さな光ってのも見つかるってぇ!」


「ぬぬぬっ、ヤマト困ったぞい。工事現場なんてちっとも思い浮かばないぞい。小さな光ってのも分からんし、第一地形に詳しい奴がおらんっつー話じゃいけん!」



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