青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「復活したハジメだけイイ顔させるの癪だから。私、ハジメ以上に頑張ってきたい。あ、そうそう、ハジメ」
それこそ満面の笑顔、花咲く笑顔でソファーに座っている復帰したてのチームメートに彼女は告げる。
「私、ハジメのことが好きだから。誰よりも好きと胸を張れる。馬鹿ハジメのことを真剣に狙うんで夜露死苦」
皆がいる前で弥生は大胆にも告白布告、宣戦布告。
目を点。
馬鹿みたいに口を開いてポッカーンとしているハジメに、
「待つのはもう疲れた! へタレが動かないから私から動く!」
笑声を漏らして弥生が部屋を出て行く。
「え……え?」
前触れも無いの告白と宣戦布告に、ハジメは何をいきなりとばかりに動揺。
完全に狼狽している。
傍観者の俺達は大爆笑。
言われてやんのヘタレ、仲間内に揶揄されてハジメは赤面する。
その顔で誰がヘタレだと大反論しているけど、誰もが「お前のこと」指差して腹抱えて笑う。
だってお前、真剣に狙うとか宣戦布告をされているじゃんかよ。
お前が早く動かないから弥生は焦れ焦れに焦れちまって、ついに腰を上げちまったんだろう。
悔しかったらお前も腰を上げてやれよ、ヘタレハジメ。
お前だってもう答えが出ているんだろう?
「ククッ、弥生嬢の意気込みに乗って俺達も行こうぜ。
向かうは某大手電気屋だ。響子は弥生と一緒に行動しろ。ヘタレハジメは五木と此処に残れ。五木、時間帯的に残って大丈夫か?」
「だっ、誰がヘタ「大丈夫です。荒川さん、お気を付けて」
見事に言葉を遮られてハジメは悔しそうに顔を顰めるけど(利二。お前わざとだろ?)、ヨウはそれさえ愉快に笑って行って来ると片手を挙げた。
大勢で行く必要性もないだろうけど、折角ヒント探しに光を見出せたんだ。
途中で奇襲や妨害に遭ったら最悪だろ?
バイク組、チャリ組に分かれて俺達は夜空の下、某大手電気屋に向かう。
確信といっても過言じゃない大きな自信が俺達の胸に満ち溢れていた。ヒントは必ずそこにある。
復活した仲間がそこにあるって推測したんだ。
俺達は迷わず信じればいい。
瞬く星空にちょいと目を向けながら、俺は颯爽とチャリを漕いだ。
ぶわっと真っ向から吹く夜風の冷たさなんて、気にもならなかった。