青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
【太陽マーク看板下・某大手電気屋前】
闇夜を蹴散らすような、ギラギラとした照明灯達を纏っている電気屋前に到着した俺達は早速ヒントを探すために乗り物を降りた。
ハジメ曰く、出入り口付近にあるらしいからな。
出入り口付近を重点的に調べ上げれば、きっと例えば出入り口近く向こうの電柱とか「あッ!」
俺は思わず声音を上げた。
「見つけたか?」
期待の含むヨウの声音。残念、俺が見つけたのは……。
「健太……なんで」
「圭太っ、お前なんで此処に」
不良ジミニャーノの健太。
俺の姿を見つけた健太はどうして此処にいるんだと五メートル先で立ち止まり、俺を指差してくる。
お前こそなんで。
待てよ待てよ待てよ。お前がいるってことは……。
俺達はハッと状況に気付き、「ヨウ!」「ヤマトさん!」早くヒントを探すよう声音を張った。
そう、健太がいるってことは日賀野達も近くにいるということ。
向こうチームも謎掛けを解いて此処にやって来たんだ。
休戦とはいえ両者の敵チームが顔を合わると、事態は悪い方向へと転がり込む。
俺達の声に弾かれた両者チームは急いでヒントらしきものを探す。俺や健太も目を凝らしてヒントを探す。
「何処だヒント!」荒川チームの俺、「出て来いヒント!」日賀野チームの健太、「返事してくれると思うか?」田山の俺、「だったら苦労しないだろ」山田の健太、なんだか砕けた会話をしながらヒントを必死に探す。
俺と健太は揃って視線を上げた。
電気屋の前には等間隔に電柱が並んでるんだけど、その一本は街灯。
ながっひょろい銀のボディに不自然なピラピラ紙切れを見つけて「「あった!」」、俺達は見事に気持ちをハモらせる。
急いで駆ける俺に、「譲れって!」健太も駆けて俺の足を引っ掛けようとした。
でも俺も負けちゃいられない。
崩れそうになった体勢を整えて、一歩前を走る健太にタックル。一緒にコケた。
通行人の邪魔になっているけど、そんなこったぁ知ったこっちゃない!
「放してくれよ! 帆奈美さんが危ないんだっ!」
健太が切迫した声音を出してくる。
勿論、俺は嫌だと大きく拒絶した。
「俺達だって必死なのは同じなんだ! ……人質に取られているのは俺の……俺の、彼女なんだよッ!」
一呼吸置いて俺は譲れないと健太に懇願。
思い詰めた顔で見つめ返してくる健太は、クシャリと顔に皺を寄せた。
「圭太……お前……ごめん、ほんとうに悪い。気持ちは察する。でもおれ達も必死なんだ!」
揉み合いになる俺と健太は近くにいたリーダーにヒントを取ってくれるよう頼む。
「安心しろケイ。ぜってぇ取ってきてやる!」
「ケン、大手柄だ。アキラ! 援護しろ!」
両リーダーは任せろと言わんばかりに走った。
魚住がヨウの妨害をしようとするけど、ワタルさんが阻止。
シズがヨウを援護しようとしたら、副頭の斎藤が前に出て妨害。
某大手電気屋前で喧嘩まがいなことを勃発させる俺達は完全な営業妨害をしているけど、店側は大層迷惑そうな顔をしているけど、構ってられない。
ヨウと日賀野はほぼ同じスピードでヒントらしき紙切れをキャッチ。セロテープで貼っ付けてあった紙切れを二人が掴んでそのままビリッ――真っ二つに裂かれた。