青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「今、喧嘩しても得なんてないぞ。ヨウ!」
「ヤマトさんも落ち着いて下さいっ。帆奈美さんっ、救出しないといけないんですから!」
両チームのインテリ不良からもこんなことをしている場合じゃないと呆れた声が飛ぶけど二人は火花を飛ばしたまま。
ついに二人は口論勃発。
「テメェは昔っから!」「出た出た馬鹿丸出し発言!」「脳みそパァ!」「単細胞のミジンコ!」等々、なんだか小学生以下の口論を繰り広げている。
お前等二人ともめんどくせぇな!
喧嘩をしている場合じゃないと言っているのに!
何度も時間が無いと言って止めたおかげさまで、どうにかこうにか喧嘩闘志の炎は消火したけど、これじゃあ、いつまで経っても前に進まない。
「クソハイエナ」
「能無しクソ野郎め」
……なんだか俺、お前等さえ仲良くすりゃすべてがまあるくおさまる気がしてきたよ?
ヨウ、日賀野、お前等、取り敢えず仲良くしろ。
ワタルさんと魚住でさえ喧嘩しないよう努めているんだからさ!
見かねたインテリ不良代表のハジメ、向こうチームからはアズミが急いで行動を起こそうと意見。
時間のロスだけは絶対にしてはいけない、と口を揃える。
「手を組んだ以上、これから求められるのは協調性だよ、ヨウ。ヤマト。
まったく、リーダー二人が協調ゼロでどうするんだい? このままじゃ五十嵐にまた大敗する」
「そうだよ。一緒になることで五分五分まで勝率を持ち込めるけど、今のままじゃ勝率49%でこっちが負けるよ? たった1%の差異でも負けは負け。
今、アズミ達に必要なのはお互いを信じて行動を起こすことにある。
たった1%のBelieveが無かっただけで負け。それじゃあ手を組んだ意味がなくない? ねぇ、たっくん」
相変わらずアズミは片手にゲーム機を持って“たっくん”にベタ惚れ中。うっとりとゲーム画面を見てハートを散らしている。
乙ゲーのたっくんの顔がチラッと目に入る。
イケメソにもほどがあるだろうとツッコミたくなるくらいカッコイイな。
そんな煌びやかなオーラを出す美形は二次元にしかいないぞっ!
二次元は萌えを最大限にまで追究できるから凄いよな。
ということは二次元に田山が飛び込めば、俺もイケメンになるのか? ……いや、イケメンを引き立たせる所詮脇役的存在なんだろうけどな! ははっ、むないんだぜ!
インテリ不良の助言により、改めて空気の入れ換えをした俺達は話し合いを再開。
お互いに喧嘩しないよう、なるべく穏便に、そう穏便且つ慎重に集会が開かれた。
まずは現状確認だと司会進行を買って出たのは日賀野。
五十嵐のある程度の居場所は分かった。
順を追って何を話し合うべきか、まずは向こうの動きと力、そして自分達の力について話し合うべきだと説明を簡潔に、全員に伝わるよう話を纏めた。
向こうの動きと力が分かれば、こっちもそれ相応の力を分配できると日賀野は語る。