青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



「スポーツとかダリィだろーが。反則バッカ思いつくし」


スッゲェ納得する俺がいる。


だよなぁ、日賀野が正当にスポーツなんて「しねぇって思っているな? 失礼な奴だな」


ドキッ。

軽く肩を弾ませる。


な、なしてばれた? 俺の気持ち! 心の声!


もしかして、お、俺はサトラレだったの「なわけねぇだろ。一部、声に出ているぞ」俺のバカチタレ!!


「あー……声に出していました? 俺」


「元々俺は人の気持ちを探るのが得意だからな。プレインボーイは気持ちを表に出しやすいから直ぐに分かっちまう。
初対面から超俺にビビッてたろーが。んでもって必死こいて場を和ませようとしていた。しっかもギャグ連発させて」


ギャグなんて連発させてないから!
あんたが俺を乗らせようとしただけだろ! 乗った俺も大概馬鹿だけどさ!


「今は……そうだな。ま、余裕が無いのは互い様ってところか」


瞠目して振り返る俺に「運転に集中しろ」容赦なく頭にチョップが落ちてくる。痛みに呻いてしまう。


「どうにかなるだろ。ならなかったらその時はその時、プライドを捨てるだけだ」


キザめいたことを吐露する日賀野に瞠目してしまう。

何となく日賀野の立場が分かった。

もしかして彼は俺と同じ条件を突きつけられているのだろうか。

健太は知らない様子だったけれど。


「まさか身売りですか?」


セフレであり仲間である彼女を助けるために身売りをするのか。

単刀直入に聞けば、

「冗談抜かせ」

死んでもごめんだと鼻を鳴らす乗客。


青メッシュをふわっと風に靡かせて、軽く肩を竦めた。


「騙しは俺の十八番だ。要は勝てばいいんだよ、勝てば。プレインボーイもそんだけの狡さを身に付けるんだな。馬鹿より、確実に狡さは手前を守れるぜ?」 


皮肉屋の助言は、文字通り捻くれたものだけど確かに俺を励ましてくれている(ように俺は感じた)。

要約すると狡さを身に付けて自分を守れってことだろう?


そして口に出してはいないけど、遠回し彼女を守れと助言してくれている。


ンー日賀野って怖いイメージがあったんだけど、意外と人情染みたことを言うんだな

仲間内には優しいと噂が立っているし、取り敢えず身内には優しいんだろうな。


「裏道です」


俺の合図に、


「リョーカイ」


ぺろっと上唇を舐める日賀野はこれから先は指示すると、掴んでくる両肩を握りなおした。



「田山、行くぞ。まずは右。左には寄るな。障害物が二つ。次いで左。軽くブレーキ、左折。曲がれ」



その指示する声音とペダルを漕ぐ俺の足が、まるで一体になったかのようにスピードを生み出していく。


ヨウと俺のコンビは最高だけど、日賀野と俺のコンビも初っ端にしてはなかなかだ。


指示される分、考える手間が省けるからスピードがグングンと加速。


これなら実戦でもいけるんじゃないか。


そう思うくらい最初にしてはコンビネーションがとても良かった。


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