青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
気を取り直してチャリに乗る面子を決める。
勿論俺は乗る面子。じゃないと、俺、ちっとも使えない地味くーんになっちまう!
ということで一台は俺、残りは二台。一台はヨウご指名でタコ沢。
「なんで俺だよ!」
キャツはギャンギャン吠えていたけど、満面の笑みを浮かべてヨウは言った。
「エリア戦争の時、超ママチャリが似合っていたからな。何かとチャリに縁があるみてぇだし、体力もある。てめぇで決定だ」
「あ゛? ヨウ貴様ッ、それは嫌味か。チャリに悪縁があるって言っておこうか。大体俺がッ、俺がッ、此処にいる元凶はっ……どっかの誰かさんがチャリで俺を轢いたからで!」
轢いたんじゃなくて踏ん付けただけです。ついでに俺は憶えがなかったりするのですが。
ギッと睨んでくるタコ沢の視線をサッと避けて、俺はてへっと愛想笑い。
嗚呼、向こうのボルテージが上がったようだ。
こめかみに青筋が二つほど立ったヨ。
ごめんタコ沢、でも俺、お前のことをマイフレンドだって思っているんだぜ! だから仲良くしようぜ!
結局一台は体力と根性が自慢のタコ沢で決定。
後ろにはカマ猫と称されているホシを乗せるみたいだ。
残り一台は自己申告で健太が名乗りを上げた。
どうせ救出隊にもチャリが必要不可欠、迅速に尚且つ見つからないよう移動しなければいけないのだから。
「それにおれ、ある程度は鍛えられてます。どっかの誰かさんとチャリを乗り回していたから」
結構腕には自信があるのだと綻んで見せた。
確かに健太ならチャリの腕は一般人よりかは上回っていると思う。
中学時代は二人であっちこっちチャリを乗り回していたし。
これにて最後の一台は健太に決定。後ろに乗るのは同じ救出隊のモトだ。
「えー? 犬と一緒のポジション? 不服なんだけどー?」
「ハアア?! それはこっちの台詞だっ、カマ猫! せいぜい落ちないようにな!」
ワンワンニャンニャンと言い争い、青い火花を散らすホシとモト。
こいつ等もほんと仲が悪いよな。
根本的に根っこから気が合わないんだろうけど、こんな時くらい仲良しこよししたって罰当たらないと、俺は思うんだぁ。うん。
ピピピピ――。
日賀野、ヨウ、俺、各々携帯が鳴った。
連絡係りにはそれぞれ特定の人物に連絡するよう打合せされている。
連絡係りのアズミは日賀野に、ハジメはヨウに、利二は俺に、連絡をするようになっている。
携帯に出た俺は利二にこう告げられた。
浅倉さん達が“港倉庫街”近くの廃屋にいるそうな。
同じように日賀野達が結んでいる協定チームも近くの廃屋に、そしてヨウはハジメに伝達されたことを俺達に伝える。
「五十嵐が俺等の姿が見えねぇことに不審を抱いてるそうな。向こうの動きが慌しくなってるらしい。ヤマト、時間は?」
「6時48分。12分で7時だ。斬り込み隊は移動してもイイ頃合だ」
「うっし」気合を入れて頷くヨウは、メンバーに招集を掛けて移動すると指示。
斬り込み隊が乗り込んだ後、本隊の俺達はこっそりと“港倉庫街”の出入り口に移動して斬り込み隊の合図があるまで待機する。
合図があり次第、俺達も裏から乗り込んで行動を開始する魂胆だ。
『挟み撃ち』作戦は『漁夫の利』作戦と違って狡い戦法じゃなく、ヨウのお得意特攻戦法と日賀野のお得意深慮戦法が合わさった立派な戦略だ。
どっちが欠けても成り立たない作戦が上手くいくかどうかは俺達の手にかかっている。
対立していた二チームがどれだけお互いを信用できるかにかかっているんだ。大袈裟に言ってみるけど、本当の話。
中学時代の因縁を乗り越えて信用し合わないと、お互いを認め合わないと、絶対に成功はしない。