青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「コンビニに出掛けたことしか、憶えが」
「そこだ。そこで俺とお前は会った。正しくはコンビニ近くで会った。そしてテメェは見事にヤってくれた」
え、なにをヤラかしちゃったのでしょうか?!
焦りながら昨日の記憶を振り返る。
コンビニに出掛けた時間帯は、俺の観たい番組が迫っていたんだよな。
だから愛チャリを必死に漕いで、かなり急いでいた記憶はあるんだけど。
俺は貴方さまに一体、「何をしちゃったんでしょうか?」
すると荒川庸一が意味深に静かに語りだした。
「実はなその日、俺はコンビニ前で野良不良に絡まれていた。
いつものことだ。気に喰わないからつって、この俺に絡んできた。命知らずもいいところだよな? 俺に喧嘩を売ってきたんだぜ?」
俺に同意を求められても困ります!
「けどな、その日の俺はどうも不調だったんだ。超悔しい話なんだが、絶不調も絶不調で。絡まれていた奴に押され気味だった。
つまり敗北しそうだったわけだ。負けたくねぇし、だからって逃げるのも癪。どうしようか考えていた、ら、チャリを爆走させてこっちにやって来るひとりの男がいた」
あ、思い出した。
コンビニに向かっている途中、俺、不良さんらしき二人に会った。
曲がり角を曲がったら、不良さん二人がどどーんっと道の真ん中にいたからスッゲェびびった。しかもその内の一人にぶつかりそうになったんだよな。
間一髪でハンドルを切ったから、ぶつからずに済んだんだけど。
その不良さん二人の内の一人が荒川だったなんて。
あの時、スッゲー急いでいたから気付きも見向きもしなかった。
お、俺……命知らずだよな。
かの悪童・荒川庸一とぶつかりそうになっていたなんて!
「絡んできた奴に突っ込みそうになった男のおかげで、俺は隙をつくことがデキたわけだ。逆転勝ちしたんだぜ」
「は、はぁ……それはオメデトウございます」
もしも俺が荒川に突っ込んでいたらどうなっていたのだろうか? ……想像するだけで胃に穴があきそうだっ、考えなかったことにしよう。