青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「呼べばアイツは直ぐに来てくれただろうにな。惜しいことをしたな、プレインボーイ」
「俺、成り行き舎弟なもので。不良でもないし」
別に俺はモトみたいにアイツを尊敬しているわけじゃないし。
アイツのことをビビッてる俺が、こういう時にだけ助けを求めるなんて筋違いだ。
っつーか俺がカッコ悪い。
もともとカッコ悪いんだけどさ、俺にだってプライドくらいあるぜ。ちっさいプライドだけどさ
。
「さてと、ま、話はこれくらいにして、どーするかな」
「……ッ、ど、どーするつもりだよ! い、言っとくけど俺! あんたに負ける自覚はあっても覚悟は出来てねぇからな!」
「ククッ、オモシレェことばっか言うな。まあビビるなって。俺にも情くらいあるぜ? そう大安売りみてぇに手や足を出さねぇぜ」
どの口がンなことを言っているんだよ。
笑っている時点で信用ならねぇって。
「ま、ゲームは面白くなきゃな。俺と知り合っちまったラッキープレインボーイ、いや……ケイ。これから色々諸々仲良くしてくれよな。俺を楽しませろよ」
日賀野が一歩足を前に出してきた。
俺は逃げ腰になる。
これから何をされるのか、こっちたらぁ想像が付いているんだよ。チックショウ、恐ぇっつーの!
獲物を狙うような眼差しを向けられて、俺、メッチャビビッている。
足が竦むっていうか感覚が無い。
逃げるって言っても足じゃきっと追いつかれるよなぁ。参ったね、これ。
「質問だプレインボーイ。チャリを取られたらお前、何が残る? 俺に勝てそうなもの、あるか?」
ホーラきた!
『そう大安売りみてぇに手や足を出さねぇぜ』と言った手前にこれだもんなぁ! ヤになっちまう! 歪んだ笑いを浮かべてくる日賀野に、俺は怯えながらも反論した。
「勝てそうなもの、ひ、ひひひひ一つだけある!」
「ほぉー、それは何だ?」
「習字、中二までしていたもんで」
冷汗を流しながらも俺は舌を出した。これでも大真面目に言い返したつもり。