コロちゃん

「柏木君って、意外と可愛いとことかあるんだね。」

「……るせぇっ//」


柏木君は中学から使ってる
肩掛けのエナメルバッグを握りしめて
唇をきゅっと結ぶ。


「ねぇ、柏木君。
何で私を選んだの?
しかも…名前知ってたし」

「あー、うん。実はこの制度廃止しようと思って……。」

「…そう、だよね。
柏木君も疲れちゃうよね」

「鈴木のことは同じ中学だし
知ってたからさ、最後くらい
普通のファンサービスってやつ?」


最後のファンサービスが、私…。
それって良いこと?なのかな?


「私が柏木君の最後の人…」

「何かエロい言い方すんなよ!」

「うえ!?いやそんなつもりは……」

「鈴木って案外面白い奴だな。
中学の頃は大人しい奴だったのに」

「私、地味ですし……………。」


柏木君は、ごめんごめんって
笑いながら言うから、可愛いとか思っちゃう。


「さぁて、最後のお姫様。
どこに行きましょうか?」

「……学校。」

「学校?」

「私たちの母校!
中学校遊びに行きたい!」


柏木君は少し考えて
笑顔でOKのポーズ。


「2人乗り…しちゃう?」

「あっ、私!漕ぎます!」

「…………す、鈴木が?」

「えと、漕ぐ方が好きだし、
それに私は重いし……。」


柏木君は、変わった奴。と呟いて
サドルから降りた。


「じゃあ、行きますよ……」


私はペダルを踏み込む。


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