生きたがりの青年と死にたがりの少年
一夫爺さん
ヒロは俺のポケットに飴を入れていったようだ
それを口に運びゆっくり溶かしはじめた
味はしない
なめている感覚もない
奇妙だった
『伊丹 将吾。またここに一人、魂がやってきます。』
少女の声が再び聞こえた。
―また生死をさ迷う人がくるのか?
『そう。だから、退屈じゃなくなるね。』
声の主はくすっと笑った。
『あまり長居しないようにね。』