生きたがりの青年と死にたがりの少年
ヒロはずっと怯えていた。
握っている手も震え、力強く握る。
「大丈夫だから。」
そう言って俺は強く握り返した。
「さぁ、一緒に帰るんだよ。来な、弘!」
男が近づいてくる。
俺はヒロを後ろに隠し、立ち向かった。
「あなたに父親を名乗る資格などない。」
「あ?何言ってんだ?戸籍上では親子なんだよ。嫌でも父親やってんだ!」
「もうヒロに構わないでやって下さい。ヒロの身体にある傷、あなたが付けたモノでしょう?」
汚い笑い声が耳障りだった。
「そうだよ、教育ってやつよ。こいつ、生意気に親に歯向かいやがる。だから、痛い目に合わせて“年上との格差”を教えてんだ。」