生きたがりの青年と死にたがりの少年

「世間ではそれを、“虐待”と呼んでんだよ!」

怒りが込み上げ、冷静になれずにいた。

男は、獲物を狙う豹の目になった。

「お前、何様なんだよ?」

「あなたこそ、何様のつもりですか?」

「いい加減にしやがれ!」

ゴッ!

思い切り顔を殴られた。

その弾みで体がよろめいたが、なんとか耐えた。

「ショウ君!」

「大丈夫だから。気にすんな。」

口の中を切ったみたい。

血の味が広がる。

溜まった血と唾を吐き捨て、手で口を拭った。

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