生きたがりの青年と死にたがりの少年

「天城くんはどんな様子で行かれましたか?」

「どちらに行かれるのですか?」

駅のホームを出ると、マスコミの質問に雨が降り注ぐ。

本当に人の気持ちを知らない人間だ。

「伊丹さん!伊丹さん!」

「子供を救った気分はどんなんですか?ヒーローみたいでかっこいいですね!」

やけにその言葉が耳についた。

「は?ヒーローみたい?」

俺は無意識に、マスコミに怒鳴り散らした。

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