生きたがりの青年と死にたがりの少年
夏実ちゃんは、うつむきながら話始めた。
「夏実ね、手術受けたんだ。」
「病気か?」
「ううん、違う。」
少し間が空き、また口を動かした。
「人工妊娠中絶手術。夏実、妊娠してたんだ。」
真っ先に浮かんだのは、生死の狭間で出会った、形のない光の赤ちゃんだ。
まさか―!?
「初めは産みたかったんだよ。でも、お腹の中に居た子は、望まれて生まれた訳じゃないから、産まれてきても、幸せにはなれない。」