生きたがりの青年と死にたがりの少年

「隣の患者さん、姿見せないわね。」

夕方、見舞いに来た母さんが気にしていた。

「ずっとカーテンで囲まれてる。ちゃんと生きてるのか?」

「こらっ!失礼なこと言うんじゃないわよ!」

一喝された。

「…すみません。」

見えない患者に謝った。

「……。」

無言だった。

この患者には、見舞い客はいなかった。

家族らしき人も、友達らしき人も来なかった。

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