生きたがりの青年と死にたがりの少年
「ハート?」
うん。
女の子かと思った。
「明日、見せてくれよ。」
答えずに、灯りを消した。
「おやすみ。」
翌朝。やっぱりカーテンは開けられていない。
「伊丹さーん。ご飯ですよー。」
朝御飯が運ばれてきた。
毎朝、隣の患者には運ばれなかった。
「あれ?お隣さん、退院したんですか?」
不思議に思っていたから、看護師に尋ねた。
「あなたは気にしなくていいの。自分のけが治すことに専念しなさいっ。」
寄せ書きされた足の包帯を、ポンッと叩かれた。