生きたがりの青年と死にたがりの少年
バイトが終わり、家に帰ろうと、バイクを走らた。
現在19時30分。
職場と自宅のちょうど中間地点にある、歩道橋の下で、一人の男の子を見た。
(こんな時間に?)
1月の半ばのこの時間。
気温は下がり、辺りも暗い。
心配になって、引き返した。
「僕、何してるの?」
話しかけたが、小さな背中は返してくれなかった。
「寒いだろ?早く、家に帰らないと、お母さんに怒られるぞ。」
「僕にママなんていない!」
立ち上がり、振り返った少年は、忘れるはずがない、子供だった。