不幸から幸せへ
俺は、ずっと傍にいてあげればよかったと思った。



「美咲ちゃん、ごめんね・・・」

「なんで、お前が謝るんだ?謝るのは私のほうだぞ」




鮎沢の声は震えていた。
きっと、虐待された時のことを思い出したんだろう。





「だって・・傍にいてあげたら、怖い思いさせなかったのに・・・」

「わ、私は別に怖い思いなんてしてないぞ!!」





そういう、鮎沢の声はさっきよりも震えていた。図星だったんだろう。


俺は鮎沢の手をとった。



「強がらないで。ずっと、怖かったんでしょ?」



ポタッ、ポタッと鮎沢の目から涙がこぼれた。
俺はそっと鮎沢を抱き締めた。声だけではなく、体も震えていた。
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