不幸から幸せへ
美咲の部屋へと行きベットの上に彼女を降ろし、碓氷も腰掛けた。


「鮎沢、どうして泣いているの?」

「親に・・虐待された」


手で顔を覆う美咲の両目からは未だに涙が溢れている。


「いつから?」

「昨日の・・夜から・・・出て行けって・・消えてーー」

「もう言わなくていいよ、鮎沢・・・」


碓氷の言葉で美咲の声が遮られたのと同時に、碓氷が美咲を優しく抱きしめた。碓氷は何も言わずに美咲の頭を撫でた。



「私は・・どうすればっいいんだ・・・」



美咲の涙は止まらない。碓氷が美咲を強く抱きしめて言った。



「うちに来れば?」

「えっ!?」

「だって、出て行けって言われているんでしょ?出て行かないと、多分酷い目にあうと思うよ。」

「で、でも・・・」

「うちは大丈夫だから、ね?」

「うん・・・」



美咲は家を出て行くことを決めた。一生帰って来ないつもりだ。帰って来ないつもりでいるということは、親と縁を切るっていうことだ。


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