【コメコン2】秘密捜査官・西董子

ここは、西刑事の住むボロアパート。

ガタピシの木窓にかけられた、ピンクのフリフリのカーテン。
その辺にころがっている、リラックマのクッション。
かと思えばバズ・ライトイヤーのゴミ箱。
かと思えばカントリー調の小物置き。
かと思えばキラキラデコデコの鏡。
和風の模様が描かれたふすま。

「ファンシー雑貨福袋」で揃えたと思われる、種々雑多なテイストの生活雑貨で占められた室内は、全く統一感がなく居心地の悪さを最大限に醸し出していた。

そこに、いかつい面持ちの原田刑事。
統一感のなさに、いよいよ拍車がかかる。

原田刑事の周りに待機したいのだが部屋が狭すぎてそうすることができず、仕方なくこたつを囲む西刑事と完全武装の男たち。

緊張しすぎて、西刑事の頭の中の糸はもはや、切れかかっている。
こたつの上のみかんに手を伸ばしたくなる衝動が、波のように西刑事を襲う。

あーあ、去年の今ごろはここでゴロゴロしながら、紅白歌合戦の曲順をテレビでチェックしてたのに。
私ってば、仕事に熱心すぎて困る。

西刑事の家にこれほどの来客があるのは、別に年越しパーティーのためではない。

れっきとした仕事だった。



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