【コメコン2】秘密捜査官・西董子
突然隣から、声が聞こえてきたのだ。
もちろん、隣から声が聞こえてくるのは、今に始まったことではない。
実際さっきからずっと、薄い壁の向こう側から男の話し声は聞こえていた。
尋常でないのは、その話の内容だった。
「何が届くと思う?」
隣の部屋の住人は、電話で誰かと話しているようだ。
相手が答えるのを待ってから、もったいぶった口調で、言い放った。
「聞いて驚け…散弾銃だ」
ケータイを操る、西刑事の手が止まり、耳がダンボになる。
さ、散弾銃?
散弾銃と言えば、山の中で熊やオオカミを狩るに使われる、強力な殺傷力を持つ猟銃ではないか。
限られた者しか持つことを許されない銃器だ。
電話は続く。
「有り金はたいて、注文したんだぜ」