【コメコン2】秘密捜査官・西董子
「いいじゃないの、こんなときくらい」
電話の向こうから言い咎められたらしく、男はいささか不機嫌になった。
「世間は正月で浮かれてる…俺たちも、ドカーンと一発ぶちかまそうぜ!」
な、なんてことだ。
今まさに、西刑事の隣の部屋でテロ計画が実行に移されようとしているのだ。
年末年始を大切な人と過ごしたいという、善良な国民のささやかな幸せが今、危険にさらされようとしている。
「散弾銃は、大晦日の午後に届くんだ。楽しみにしてろよ」
電話の向こうもテロ決行に同意したらしく、電話はそこで終わった。
眠っていた西刑事の正義感に、火が灯る。
こうしてはいられない!
一国の存亡が、私の手に委ねられている!
西刑事は、立ち上がった。