【コメコン2】秘密捜査官・西董子
舞い上がる粉塵でよく見えないが、犯人グループに動きはない。
意外なまでの無抵抗に、いささか拍子抜けする。
まさか隣で刑事が張り込みしていたなんて、あっちも想定外だろう。驚きの余り抵抗することすら忘れているようだ。
土ぼこりが床に落ちていき、ようやく部屋の様子が明らかになってきた。
犯人は、3人。
揃いも揃って、凶悪テロ犯とは思えないほどしまりのない顔だ。
くずになった壁とほこりを頭からかぶり、ぽかんと口を開けている。
「…え?」
一人が、状況を把握しかねて思わず声を上げた。
「動くな、警察だ!今何を受け取った、見せろ!」
迫力あふれる原田刑事の声に、3人は震え上がる。
両手を頭上に上げたまま、3人は視線を中央の一点に向ける。
その視線の交わるところ。
3人が囲んでいたちゃぶ台の上に、それはあった。
何段かに重ねられた、正方形の漆塗りの木箱。