【コメコン2】秘密捜査官・西董子
西董子は、まだ刑事になって間もない、青二才。
しかし、ビギナーズ・ラックというべきか、彼女の「勘」が冴えていたのか、はたまたただの偶然によるものかは定かではないが、初仕事であった「一島重工社長殺人事件」を、鮮やかに(?)解決に導いた、本青山署の中では注目の大型ルーキーでもある。
彼女の活躍を快く思わない輩が彼女の周辺にいても、さほどおかしい話ではない。
それに、どの事件にも言えることだが、逮捕された犯人からの逆恨みは、刑事の宿命だ。
「・・・で、犯人に何をされた」
原田刑事は、小声になった。
原田なりの、配慮だった。
寝ている単身女性の部屋に、不法侵入。
そこで何が起きたのかは、想像したくないが容易に想像できた。
西、つらいだろうが俺はお前の相棒だ。
俺は全てを、受け止める覚悟ができている、だから。
全部、話してくれ。
西刑事は一瞬、話すのをためらった。
それから、深刻な面持ちのまま、口を開いた。
原田刑事が、固唾を飲む。
「・・・目覚まし時計を、止められました」