BEST☆FRIEND
その子は、空手が強くて、でも優しくておもしろくて、とても紳士的な子だった。
その子の名前は、《大島 賢兎〔おおしま けんと〕》
うちは、`賢兎君´と呼んでいた。
「賢兎君、あのね…」
恥ずかしいです。
顔が赤い気がします。
でも…「好き」って伝えなきゃ。
そして、うちは一歩前に出た。
「うちね、賢兎君のことが…好きな…」
バシコンッ…。
正直、自分でも何が起きたのかわからなかった。
たった一瞬の出来事。
でも、唯一わかったこと…
左頬に激しい痛みが伝わっていることだった。
そう、うちは好きな男の子に、顔面を蹴られていた。
空手が強いこと…知ってたのに。
やさしい…はずだったのに…。
目の前にいる人は…誰?
すると賢兎君の口が開いた。
「うざい」
うちには、とても厳しい言葉だった。
でも賢兎君は、その言葉を投げ捨てて、走ってどこかに消えてしまった。
とても、心にひびく出来事だった。
――――――――――――――
あの日、あの時から、うちは何を考えたのかしらないけど、『強くなりたい』そう思うようになった。
で、今…。
これって、強くなったの…?