きみがため
「いつも此処にいらっしゃるのですね」
僕がそう言うと、彼女はぽっと頬を赤くした。
何か、マズイことでも言ったかな?
そう思っていると、彼女が躊躇いがちに口を開く。
「確かにここにはよく参ります。ですが、今日来たのは……」
か細い指を胸の前できゅっと握り、ゆっくりと僕と視線を合わす。
「また、お会いできるかと思って……」
彼女はそのまますぐに恥ずかしそうに俯いた。
僕の胸が、きゅっと鳴いた。