きみがため

「沖田様」


八重に呼ばれる僕の名は、近頃なんだか特別に響く。

見回りの途中で、ほんの少しの時間、話をするだけの相手。

だけど僕は着実と八重に特別な感情を抱き始めた。


その絹のような肌に、薄く赤らむ頬に、触れたくて堪らない。

そしてそのキラキラと澄んだ美しい瞳に、僕は何度となく見とれた。


「八重さん」

「はい」

「……何でもないよ」


八重はふんわりと笑った。

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