きみがため

花はいつか散る。
どんなに美しく咲いたとしても、いつかは散る。


「……コホッ」


八重に対するこの、なんだか熱い気持ちが散るのが先か。

僕自身が散るのが先か。


考えるまでもない。

僕はきっと、死にゆく一秒前まで人を斬るのだろう。

けれどその最期の瞬間には、八重を想っているに違いない。

その時まで、心の中に隠しておこう。
それでいい。
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